川口・クルド人問題の実態とは?『移民リスク』が警鐘を鳴らす

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埼玉ニュース&トピックス

埼玉県川口市・蕨市を中心としたクルド人移民問題、日本の入管行政の課題、ドイツをはじめとする欧州の移民政策の変遷を徹底取材した書籍『移民リスク』が2月15日に発売されます。著者の三好範英氏は、長年の海外特派員経験を活かし、日本国内だけでなく、クルド人の故郷トルコ、移民政策が揺れるドイツなど、現地の声を直接拾い上げながら問題の本質を探っています。

川口市・蕨市で起きている「クルド人問題」

埼玉県川口市と蕨市には、日本最大規模のクルド人コミュニティが形成されています。彼らの多くは短期ビザで入国し、その後難民申請を繰り返すことで長期間日本に滞在しています。しかし、著者がクルド人の故郷トルコを訪ねた結果、政治的迫害を理由に逃れてきた人はごく少数で、多くが経済的理由での移住であることが浮き彫りになったといいます。

また、地域住民からは、ゴミ出しルールの無視、公共施設の利用マナーの問題、トラブルの増加など、日常生活での摩擦が報告されています。本書では、それらの問題点についても詳細にレポートしています。

日本の入管行政の課題

日本の入管制度はしばしば「厳しすぎる」と批判される一方で、実際には送還忌避者(強制送還を拒否する外国人)が増加し、7万人近い不法残留者がいるというデータも示されています。特に、2021年に入管施設でスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが死亡した事件は、日本の移民政策を巡る大きな議論を巻き起こしました。本書では、この問題の背景と、入国警備官の過酷な業務実態についても深掘りしています。

ドイツが経験した「移民問題」と日本への示唆

かつて「移民先進国」と称されたドイツも、近年は移民規制の方向へ舵を切っています。特にメルケル前首相時代に積極的な難民受け入れ政策を進めた結果、社会の分断や治安の悪化、テロの増加などが問題視されるようになりました。現在、ドイツでは移民の受け入れ制限が強化され、難民認定率も低下しています。

日本もまた、少子高齢化による労働力不足を補うために移民受け入れを進めるべきか、あるいは慎重に対応すべきかという議論が続いています。本書は、ドイツの経験を踏まえ、日本の移民政策に警鐘を鳴らしています。

移民問題を考える一冊

『移民リスク』は、移民政策のメリットとデメリットの両面を冷静に分析し、日本が今後どのような方向性を取るべきかを考えるうえで重要な視点を提供する書籍です。移民を一概に否定するのではなく、実態を正しく理解した上で、どのような政策が必要なのかを考えるきっかけとなるでしょう。

興味のある方は、ぜひ本書を手に取って、日本の移民問題について考えてみてはいかがでしょうか?

『移民リスク』 三好範英 | 新潮社
クルド人=政治難民というイメージ、メディアによる入管行政への批判、移民先進国ドイツの先例──人口減や人道的配慮など移民を受け入れるべき理由はあるものの、このまま押し進めて本当にいいのか? 欧州事情に通じたジャーナリストが
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