新聞の印刷工場がきくらげ栽培に乗り出す!?そんな驚きのニュースが飛び込んできました。埼玉県川口市にある毎日新聞首都圏センター(MSC)が、新たな事業として「きくらげ栽培」を本格的にスタートさせました。工場内に最新設備を整え、最大5600個もの菌床を収納可能な栽培庫を建設。この一大プロジェクトは、新聞のデジタル化が進むなかで工場の活用方法を模索するなかで生まれた、多角化戦略の一環でもあります。
なぜ新聞印刷工場できくらげ?工場ならではのメリット
きくらげ栽培には、一定の温度や湿度、適切な酸素量が必要です。実は、新聞印刷工場では印刷品質を守るため、これらの環境が整えられているのです。さらに、機械を扱う技術者が常駐していること、そして24時間体制で人が働いていることも大きな強みになりました。
「もともと工場内の環境は、きくらげ栽培にとって理想的でした。昨年4月から試験的に栽培を始めたところ、肉厚でぷりぷりとした食感のきくらげが収穫でき、本格的に事業化を決めました。」と、MSCの担当者は語っています。
国内生産はわずか10%!貴重な国産きくらげ
現在、日本で流通しているきくらげの約90%は中国からの輸入品。国産の生きくらげは非常に希少で、市場に出回る量も限られています。しかし、栄養価の高さから健康志向の人々の間で注目を集めており、特にビタミンDの含有量は食品のなかでもトップクラス。また、鉄分や食物繊維、カリウム、βグルカンなども豊富に含まれ、「食べる漢方」とも呼ばれるほどです。
こうした背景から、MSCが取り組む川口産きくらげは、貴重な国産品として大きな価値を持つことになります。
宇宙ステーションのような最新鋭栽培庫!スマホで環境を管理
MSCのきくらげ栽培で特に注目したいのが、宇宙ステーションのような最新設備の導入です。通常、きくらげ栽培はビニールハウスやコンテナを利用することが一般的ですが、川口工場では気密性・断熱性の高い専用栽培庫を建設。環境統合制御システムを活用し、スマホやタブレットでリアルタイムに温度・湿度・CO2濃度を監視・制御できる仕組みを導入しました。
このシステムにより、無農薬で安心安全なきくらげを一年中安定して生産できるのが強みです。「24時間365日、工場内の技術スタッフが管理することで、常に最高の状態できくらげを育てることができます。」と、担当者も自信を見せています。
今後の展開は?オンライン販売や学校給食への提供も
現在は栽培をスタートしたばかりですが、今後はオンライン販売を展開し、さらにきくらげを活用した加工食品の開発も計画中。地元の学校給食に提供したり、きくらげの収穫体験を行ったりと、地域に根ざした活動も視野に入れています。
新聞印刷工場の新たな挑戦として、地域の人々に親しまれる事業へと成長していくことが期待されます。最新技術を活用して育てられた「川口産きくらげ」、これからの展開にぜひ注目してみてください!