風雲急を告げる埼玉レポート!
皆さんコンニチハ! クリスマスでも元気に仕事の予定のダメライター、あるかでぃあデス!(察して下さい。) (=゚ω゚)ノ
突然ですが皆さんに悲しいお知らせが! なんと埼玉レポートが次回で終わりになってしまいます!
やったねクリスマスの仕事がなくなったよ! ←よくない。
あまりにもオレが無茶なレポート取材を敢行し続けた結果、予算が早々に尽きてしまったとかなんとか……。
真偽のほどはともかく、今月は今回のみで最終回は1月の予定です!
埼玉の和紙を世界へ!
というわけで、ここはビシっと素晴らしい取材で終わってやろうじゃないかと気合を入れ直し、自慢の埼玉データベースへアクセス! 1年の締めくくりにも相応しい情報がないかと探してみると……ありました!
「日本の“和紙”、ユネスコの無形文化遺産に登録決定」
11月28日に日本の「和紙」とその手漉(てすき)技術について、ユネスコが無形文化遺産への登録を勧告したのを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は2009年に島根県の「石州半紙(せきしゅうばんし)」が和紙として無形文化遺産に登録されていたのですが、日本中の和紙を個別に登録するのは難しいため、各地の和紙を総括して「和紙」として登録しなおすことになり、その1つが埼玉県の「細川紙(ほそかわし)」だったのです。
埼玉にこんな素晴らしい技術があったのですね♪
というわけで、今回は細川紙のレポートに行ってみたいと思います!
いざ、残り少ない予算を食い潰しに!
埼玉の伝統工芸を振り返りつつ、向かった先は埼玉県小川町。秩父の山々を西に望むのどかな町で、細川紙はこの小川町や隣の東秩父村に残る技術として受け継がれています。
その小川町にあるのが「埼玉伝統工芸会館」。ここでは埼玉県内のさまざまな伝統工芸品と共に、細川紙をはじめとした和紙の展示や実演なども行っているとのこと。
関越自動車道の嵐山小川ICから10分ほど県道を走ると見えてきました。
埼玉伝統工芸会館は道の駅と並ぶようにして建てられており、どうやら運営元の母体も一緒のようです。
道の駅の入り口には無形文化遺産登録決定を祝う横断幕が。他にもあちこちにのぼりや垂れ幕などが掲げられています。町をあげてのお祝いムードですね♪
それではいよいよ館内へ。入場料は大人が300円、小中学生が150円です。
館内には埼玉県内の伝統工芸品を常設展示したコーナーのほか、期間限定のイベントやギャラリーもあります。
常設展示コーナーには、これまでに埼玉レポートでも取材してきた数々の伝統工芸品がいくつも。
埼玉レポート第1回で取材したひな人形は鴻巣の伝統工芸、5月に取材した加須市のこいのぼりも伝統工芸品として展示されていました。昔は和紙のこいのぼりなんてものもあったんですねー。
常設展示コーナーの一角で細川紙についての解説を発見。でもよく見ると「小川和紙」という名称も。
別室にあった解説によれば、細川紙というのは小川和紙という地元の和紙工芸の“1ブランド”のようなもので、製造工程の違いによって名称が変わり、その中でも最も高級品として扱われるのが細川紙なのだそうです。
伝統技術と寒さが生み出す芸術作品
細川紙や小川和紙についてしっかりと予習をしたところで、いよいよ細川紙の製作実演を見せて頂くことに。
この埼玉伝統工芸会館にある工房は単なるデモンストレーション用ではなく、れっきとした和紙工房。
ここを含め小川町にはいくつかの工房があり、職人の数は見習いなども含めて20名前後がいるそうです。
職人さんの数が意外と少ないことにちょっとビックリ。日本の伝統工芸と言えば後継者不足や技術継承者数の減少などがよく取り沙汰されますが、ここ小川町も例外ではないのかも。
工房では和紙作りの体験なども可能で、この日も押し花を使った和紙のはがき製作を楽しんでいる方がいらっしゃいました。
それでは細川紙の製作工程へ。
部屋の中央には紙の原料となる楮(こうぞ、小川町では“かず”と呼ぶ)の繊維が入った「漉き舟(すきふね)」という水槽があり、そこで作業を行います。
まずは水槽に「馬鍬(まぐわ、小川町では“まんが”と呼ぶ)」という木製の攪拌具を入れ、前後にバシャバシャと動かして豪快にかき混ぜます。
この時しっかりと攪拌して繊維の塊が残らないようにしないと薄くて均一な紙が出来なくなってしまうそうで、かなり時間を掛けて丹念にかき混ぜていました。
十分に攪拌が済むと紙漉きです。「漉き桁(すきけた、小川町では“たが”と呼ぶ)」という大きな漉き台を漉き舟に入れ、見事な腕さばきで漉いていきます。
この紙漉きの工程に慣れるまでには1年ほど掛かるそうですが、見た感じでは1年程度で出来るようになるのか不安になるほど繊細な動き。
豪快に動かしつつも薄く均等に繊維が乗るように揺らしていきます。
作業そのものが芸術作品のようだと関心している間に漉きが終わり、「かんだ台(小川町では“敷き詰め(しきづめ)”とも呼ぶ)」に漉いた和紙を積み上げていきます。
和紙の原料には楮のほかにも三椏(みつまた)や雁皮(がんぴ)なども使われますが、細川紙(小川和紙)で使用されるのは楮のみ。
楮の皮はかなり硬く、これを柔らかで真っ白な繊維にするためにたくさんの工程が必要なのですね。
また、この薄くて強い和紙作りに欠かせないのが「ねり」と呼ばれる材料です。
ねり自体は和紙の素材ではありませんが、その製作工程にとても重要なもの。
漉きの段階の水に粘り気を持たせることで漉き桁で原料をすくった時に水がすぐに流れ落ちてしまうのを防ぎ、原料が薄く均一に広がる手助けをしてくれます。
ねりに使う素材もいくつかあるそうですが、小川町で使われているのはトロロアオイという植物の根。
これを叩いて潰したものを冷水に浸しておくことで強い粘り気を持った樹液が出るので、それを使うそうです。
実際に見せて頂くと昆布の粘り気みたいな感じでした。
トロロアオイの樹液は冬場などの寒い時期なら1週間ほど出るそうなのですが、気温の高い夏場は水温を低く保っても1〜2日程度しか持たないらしく、すぐに腐ってしまうそうです。
寒い季節に冷たい水を使って、初めて素晴らしい和紙ができる。
それだけでも和紙作りの大変さがうかがえます。
和紙の素晴らしさをもう一度!
これにて工房見学も終了。和紙作りの工程が思った以上にダイナミックでちょっと興奮してしまいました。
細川紙がユネスコの無形文化遺産への登録が決定して以来小川町を訪れる人も増えたそうで、埼玉伝統工芸会館だけでも1.7倍近い来館者があったとか。
今では休日ともなると道の駅の駐車場が満車で入れなくなるほどだそうです。
取材が終わったあたりで丁度お昼時だったので、道の駅のレストランで自家製粉を使ったうどんなどを堪能。
程よくとろけた揚げ玉と不揃いながらもコシのあるうどんの絡みが絶妙で最高に美味しかったです♪
そして恒例のお土産タイム。今回は小川和紙で出来た羊の張子を購入。来年の干支ですしね。
和紙は意識して使うことはあまりないですが、障子やふすまなど日本の家屋とは切っても切れない関係の素材ですし、和紙を通した光の演出や和紙の風合いなどが生み出す美しさは実に日本らしい美しさではないでしょうか。
手紙の便箋なども和紙だったりすると、ちょっと嬉しかったりしますよね。
ぜひ皆さんも、和紙の良さを再確認しに小川町を訪れてみてはいかがでしょうか。
日本の風土と寒さが生み出す芸術に、きっと魅了されますよ♪
(取材・執筆:あるかでぃあ)
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