誰が言ったか知らないが、訪ねてみれば確かに感じる魅力のご当地をさすらう「埼玉ブルース」。
今週は引き続き、志木市内各所に点在するかっぱ像をめぐります。
前回はあまりのかっぱ像の多さとその強烈過ぎるインパクトに駅前で引き止められ、
その近隣に位置するかっぱふれあい館で足が止まってしまったが、
そんな物憂げなきず~なに別れを告げて、さらに歩みを進めてみる。
すると、ほどなくして同じ通り沿いに、何やらまたそれっぽいものを発見。
シャッター・チャンスを窺いつつカメラを構えてにじり寄ると、
「おいらを写真に撮るって?しょうがねえナァ、それならひとつちょっくら上手に頼むぜぇ」
とかなんとか言ってそう。これまで十数回と言う連載を重ねて来たが、
果たしてここまで物言う石像があっただろうか。
にしても、この言い知れない下っ端感と来たらどうだろう。
例えて言うならそう、まるで二枚目気取りの三枚目のようなこの雰囲気。
RPGで言ったら、間違いなく最初の村で一番はじめに倒される敵の風情である。
こいつはくせぇーッ! 三下以下のにおいがプンプンするぜぇッーッ!!
「手下感が拭えない」。しかし、裏を返せばそれは、
親しみやすいと言うことかも知れない。
その足許には、ほかの像に類を見ない供物がお供えしてあった。
こわごわ覗き込んだ先に並べられていたのは、予想の斜め上を行くまさかのどんぐり。
志木市民の皆さんから愛されている事実は存分に伝わったが、そうは言ってもトトロじゃないんだから。
さっきのお店から好物のきゅうりを備えてもらえよ……。そんな外してる感じも三下である。
そこから歩くこと数分、都会の賑やかさから隔絶されたような雑木林に踏み入った先では、
もう一匹のかっぱとご対面。ここから先にあるほぼすべてのかっぱ像に、
こうしてプラカードが掲げられている。
これは宙太郎と言うそうで、志木市公式によると、
とても臆病で殻の中から外の様子を伺っているというイメージで作られました。
まるで卵の中にいるように見えるため、子ども達から、
「カッパは卵から生まれるの?」と聞かれることもあるそうです。
とのことだが、実際のところは胎生と卵生とどっちなんだろう。って言うか、
もし卵生じゃなかった場合、この殻って一体何の殻なんだろう……。
その宙太郎の真向かいで、さらに二匹まとめてかっぱをゲットだぜ!
これまた某CMで「かっぱの川流れは楽しそうに遊ぶ様子のことではありません」って
言ってた割に、めっちゃ楽しそうですやん。それにしても、すぐ真下には本物の河川が
広がってると言うのに、ここで健気な海老反りを披露するこの画、うーん、この、、、
ちなみに、先程の写真では浮いているように見えないこともないかっぱの実情がこちら。
世の中には様々なシュールがあると思うが、これをそう呼ばずして一体なんと言うべきか。
うーん、シュールだ。
志木市民の心のオアシスことランドマークのいろは橋に差し掛かると、
陽気にも程がある看板がお目見え。
なんやもうデフォルメし過ぎて訳の分からんことになっている。
これを10人に見せて、一体何人が同じ「か」の字からはじまる
3文字の生き物と混同せずに答えられるのか。架空の生き物の癖に、
もはや一周回って親近感すら湧いて来る、こいつにくれてやる尻子玉など存在しない。
そのいろは橋を渡り切った先には意外な動物の石像が待っていた。
ここまでかっぱを推しておきながら、何故今さら鴨なのか?
よく見ると端の方に「あいがも会」と刻印があるが、果たしてどんな会なのか……。
色々と疑問は残りはするものの、久し振りに見る実在のモチーフに心揺さぶられ、
この季節には持って来いのコスモス街道を下って行くと、
そこでは男女のかっぱがいかにも仲睦まじそうに二人の世界を
繰り広げている真っ最中でした。この雰囲気、立ち入りづらいにも程がある。。。
これは最近知ったことなのだが、デートの際は真正面で見つめ合うより対角線上に座った方が
距離がぐっと縮まるらしい。残念ながら人間様の筆者ですら未だ試す機会に恵まれないと言うのに、
そんな高度な恋愛テクニックを駆使するとかかっぱのくせになにそれすごい。
その名前に表わされるように、周辺には今が盛りのコスモスが咲き乱れて絶景が広がってはいるが、
目の前のリア充どもがうらやまけしからんので、落ち込む前に失礼しよう……。
そして、すぐ近くの小学校には、なんと校庭にかっぱがお邪魔している始末。
あまりにも珍しいので、もちろん志木市が勧めるかっぱ像めぐりルートには
含まれないものの、無理を言って写真に収まって頂きました。
それにしても、いくらその手のウォッチが流行っているとは言え、こんな妖怪の
侵略にも動じずに放課後を楽しむ志木児童諸君のたくましさの方向性にビックリ。
のみならず、この志木市内の全小学校にかっぱ像があると聞いてなおビックリ。
それにしても、つくづく校舎とのこのミスマッチ感。埼玉県一夢のある場所を訊ねられたら、
それは何処よりももしかしてこの志木市にあり。かも知れない。
【今回取材させて頂いた旧村山快哉堂】
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