【前回までのあらすじ】
理想の秘密基地を求めて失踪したジョージ。
彼を探すためにジョセフは、ポルポル・レロレロの2人に「埼玉県内の面白いこと」を探すことを依頼した。
ジョセフより埼玉愛を試すべく、埼玉銘菓をかけた埼玉クイズ王を挑まれたポルポルとレロレロ。
自信満々で望む二人だったが何一つ正解することができず、埼玉銘菓は全てジョセフのものに……。
かろうじて参加賞のガリガリくんを手にする2人だったが、食べ終わった後の棒を見てポルポルはいずこへと走り去ってしまった。
──はたして、彼はどこに向かったのか?
レロレロ「ちょ、ちょっと、ポルポル! 急に走り出してどうしたんですか!?」
ポルポル「いや、ガリガリくんが当たったからコンビニを探そうと思ってな」
レロレロ「えっ!?ジョージのアテが見つかったんじゃないんですか!?あんなに自信満々に目的地が見つかったって叫んでいたのに半月も引っ張っておいてそのオチは……」
ポルポル「いや、だってせっかく当たったんだから交換しなきゃもったいないだろう」
レロレロ「って、ここは浦和?」
ポルポル「至るところに“サッカーの町”ってフレーズがあるな」
レロレロ「浦和はJリーグの浦和レッドダイヤモンズ、通称浦和レッズの発足時のホームタウンなんですよ。現在浦和市は与野市と大宮市と合併してさいたま市になったのでホームタウンはさいたま市ですが、浦和レッズと浦和は縁深い間柄と言えますね」
ポルポル「あれ、そういえば、ジョージは浦和レッズの大ファンじゃなかったか?」
レロレロ「たしかに……。となると、ここでもジョージを探す必要がありそうですね。幸い浦和のことならそれなりに詳しいので、大船に乗った気でいてください」
ポルポル「サッカーの町というだけあって、サッカーを思わせる看板やオブジェがあちこちにあるな」
レロレロ「あの強豪チーム“浦和レッズ”のホームタウンですからね。今年はJ1リーグで優勝を決めていますし、町全体で応援しているのでしょう」
ポルポル「見ろよ! こんなに大きくチームメンバーの写真も飾ってある!」
レロレロ「オフィシャルショップももちろん街に溶け込んでいます。イメージカラーの紅白が印象的ですね」
ポルポル「おー、町全体が応援してる感じがビンビン伝わってくるな……!散策しているだけでこっちまでスタジアムに足を運びたくなるぜ」
ポルポル「……ところで、このゆるキャラは何者なんだ?」
レロレロ「“浦和うなこちゃん”ですよ。埼玉観光大使として浦和のうなぎをPRするために誕生したんですよ。デザインをしたのは、あの『それいけ!アンパンマン』の故やなせたかし先生です!!」
ポルポル「うなぎか……。浦和はうなぎが名産だったりするのか?」
レロレロ「ポルポルは相変わらず何も知らないんですね……。うなぎの蒲焼きは江戸時代に中山道を通る旅人に提供したのが始まりとされている、つまりはここがうなぎの蒲焼きの発祥地と言えるスポットなんです!今年の5月には浦和うなぎ祭りというイベントもあったぐらいで」
ポルポル「なんだその楽しそうなイベント!?」
レロレロ「毎年5月の第4土曜日にさいたま市役所前で開催されるお祭りです。今年は2000食分のうなぎ弁当が用意されていたんですが、それがなんと30分で完売するほどの盛況ぶりだったとか……うなぎ以外にも色々な出店があったみたいで」
ポルポル「聞いているだけで腹が減ってきたな。来年は俺たちも参戦しようぜ!!」
レロレロ「ふふふ、望むところです!!」
ポルポル「しかし、うなこちゃんの石像はうちわだけ石造りではなく、普通のうちわなのは気になるな……」
レロレロ「ああ、実はこのうちわは定期的に変わるんです。今回のように火災予防運動キャンペーンの告知から浦和レッズの応援、さらには受験生への応援メッセージまでバリエーション豊かで。年間80回くらい変わっているみたいですよ」
ポルポル「年間80回!? 一週間に一回以上のペースで変わってるじゃないか!!」
レロレロ「さいたま市役所を定年退職された方がボランティアで変えてくださっているようで。素晴らしい心配りですね……」
ポルポル「なんたるボランティアスピリッツ!!」
レロレロ「ちなみに、2年前にそれまでに使われたうちわを展示した“うちわ展”というイベントが開催されたそうです。並べてみると壮観でしょうね」
ポルポル「こっちには随分と時代を感じる商店街があるな」
レロレロ「ナカギンザセブン通りですね。戦後の闇市の頃からある場所ですから、昭和の雰囲気を感じてしまってもおかしくありませんね」
ポルポル「シャッターが下りている店が多いせいか、少し寂しい雰囲気があるが……」
レロレロ「ハハハ、この商店街は7割ぐらいが飲み屋さんなので昼間は少し寂しくて当然なんです。夜は雰囲気が全然違いますよ」
ポルポル「そうなのか……昼間に来たのはちょっともったいなかったか……」
レロレロ「そんなことはありませんよ。空いているお店は少ないですが、老舗のおでん屋さんや蕎麦屋さんなど、昼間でもおもしろいお店はたくさんあります」
ポルポル「何か広い商店街に出たな」
レロレロ「ここは桜通り商店街ですね。“浦和に来ればおもしろそうなことがある”をモットーに、定期的にイベントを開催しているみたいですね」
ポルポル「おっ!?なんか心にビンビン来るフレーズだな。具体的にはどんなイベントがあるんだ?」
レロレロ「この商店街のシンボルであるサクラソウの開花時期の4月に“さくら草まつり”や、昭和57年から開催されている歴史ある“浦和宿古本いち”。さらにはバザーなんかもよく開かれているようです。古本いちは毎月第4木曜〜日曜に定期的に開かれているみたいですから、古本に興味があれば来てみるといいかもしれませんね。
……まあ、ポルポルが本を読んでいる姿は想像できませんけど」
ポルポル「ハッハッハ、おいおい、褒めるなよ!! 照れるだろ」
レロレロ(……もうツッコミを入れるだけヤボですね)
ポルポル「また少し雰囲気の違う商店街に出たが、ここはなんて場所なんだ?」
レロレロ「ここはなかまち商店街ですね。さっきのさくら草通りから駅から見て少し右にある場所ですよ。飲食店が多く、食べ歩きながら散歩するのに向いている商店街ですね」
ポルポル「持ち帰りで食べ歩けるようにつまみを売っている飲み屋さんもあるのか」
レロレロ「ドラッグストアや100円ショップ、レンタルショップなどが並んでいて賑わいがあるようで。浦和が住みやすい町だというのが商店街の雰囲気からもなんとなく伝わってきますね」
ポルポル「いやぁ、だいぶ歩き回った。今日のジョージ探しのノルマは十分果たしただろう」
レロレロ「ノルマって何ですか。ジョージを見つけ出すまで私たちの旅は終わらないんですよ」
ポルポル「確かにそうだが、戦士にも休息は必要と言うじゃないか?そんなわけで……」
ポルポル「サッカーしようぜ!!」
レロレロ「だから、なんでそうなるんですかッ!!」
ポルポル「そこら中にサッカー関係の看板があったから、ついつい自慢のバイシクルシュートを見せたくなってな……」
レロレロ「それならサッカーボールぐらいはちゃんと用意してくださいよ。完全に違うボールじゃないですか、それ!!」
ポルポル「なかまち商店街のダイ○ーにこれしかなかったんだ」
レロレロ「本当にやる気があるんですか、ポルポルは!!」
ポルポル「あ、ああ……そこまでいうなら」
ポルポル「磯野〜、野球しようぜ!!」
レロレロ「もう浦和から完全にかけ離れてますけど!!いや、たしかに浦和学院は高校野球の名門ですけど!!」
ポルポル「ならどうすればいいっていうんだ!!」
レロレロ「……まったくポルポルは。しょうがない。私がこれからとっておきの場所に案内しましょう」
ポルポル「とっておきの場所!?」
突然どこかを目指して歩き始めたレロレロ。
彼の言う“とっておきの場所”とは一体!?
第12回に続く
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